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「流れを変えるには充分な一発だった」
名古屋市立工業高校と豊川高校との間で行われた県大会四回戦(2017年7月22日)。ここまで一人で投げ抜いてきた影響からか大黒柱であるエース左腕の高木飛翔が初回に6失点を許すという、苦しい立ち上がりとなった名市工業高校。序盤3イニングスの攻撃を無得点で終え、重苦しい空気に包まれかけ始めた4回表の攻撃、四番・川上承太郎の放った打球が左中間最深部へ飛び込むとムードは一変。翌5回表の攻撃では一気呵成の5得点を挙げて同点に追い付いた。同点打を放ったのは、またも川上。先制アーチのリプレイ動画かのような左中間スタンドへの一発だった。 更に勢いの止まらない名市工業打線は6回以降の攻撃で毎回得点を重ねて逆転勝利。この日、2ホーマーの川上は最終回にも2点タイムリーツーベースを放ち、マンオブザマッチ級(猛打賞6打点)の活躍を見せた。

この激戦の疲れからか、翌日の東邦高校戦ではコールド負けを喫したが、上位から下位まで切れ目なくヒットを量産する攻撃陣を中心としたチーム力は今大会の「台風の目」と言える代物だった。名市工業高校は昨今の公立高校としては珍しく、ニートップの体勢を作りフォロースルーを大きく取る豪快なバッティングを指導しているようで、今後も愛知高校野球界に更なる衝撃を与えるのかもしれない。 

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という訳で、川上承太郎選手、凄かったです!(この選手も尾関雄一朗さんがピックアップしていた中の一人ですね) 立ち上がりに6点のビハインドを背負ったところで「コールド負け(ry」が頭にチラつきましたが、各打者それぞれが可能性のあるバッティングを見せていたので、「試合のどこかで噛み合えば追い上げてもおかしくないな」とは思っていました。それにしても劣勢の流れを一振りで変えてしまった川上選手の追撃弾は見事の一言でした。あれがフェンス直撃のツーベースぐらいに終わってたら、あのまま豊川が押し切って勝っていたのかもしれません。 この記事に貼った3枚目の写真なんかがわかりやすいのですけれども、この試合の会場だった春日井市民球場はスタンドとフェアグラウンドが近く、球場全体の雰囲気が変わるとモロに試合の流れに影響が出ます。そういう意味でも「ホームラン」というのは応援スタンドを一体化させるだけの強力なパワーがあるんですよね。

川上選手の打撃スタイルはと言うと、ステップ幅が狭く軸足が踏み出し方向へ動くような感じに見えるので、前捌きの意識が強いタイプと言えるでしょう。フォロースルーで一気に体正面を三塁方向へ向ける辺りからしても山田哲人(ヤクルト)のような引っ張りに特化した打者だと思われます。また、打球にバックスピンをかけるのが上手く、虹のような放物線を描いて飛ばす事の出来る正真正銘の「アーチスト」です。地元大学への進学が有力視されていますが、進路先でもホームランバッターとしての更なる飛躍に期待したいですね。