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井村勇介投手(至学館大学)
高蔵寺高校卒 172cm67kg

高校時代はチームを夏の県大会ベスト8へ導いた三刀流選手(投手・遊撃手・三塁手)として、その名を轟かせていました。(※2年生時には投手として関根大気とも対戦)在籍する至学館大学では入学直後から主戦投手としての活躍見せ、当時のドラフト候補生・夏目旭投手(現ジェイプロジェクト)を差し置いてまでエース格を任されていた時期もあった程で、チームからの厚い信頼を勝ち得ています。高校時代は制球力に優れる技巧派投手でしたが大学3年生となった現在は技巧派と本格派の両面を併せ持つ、総合力の高い投手へと変貌を遂げました。(最速143km/h前後)先発投手としては幅のある投球で試合を作り(序盤は球種を温存するタイプ)、リリーフ投手としては厚みのあるストレートと切れ味鋭い変化球(恐らくスラッター系、チェンジアップ系)で空振りを量産する"絶対的なクローザー"としての役割を果たします。腕の位置はやや横手のスリークォーターですがマウンドプレートの一塁側を踏んでいる為、ストライクゾーンの中へと球を収めやすく、トップを早く作っている事からしても、制球に対して強い意識を持っている投手だと思われます。それらの取り組みがピッチングワークにも活かされており、ランナーを背負った場面では併殺狙いの投球に切り替えて、きっちり仕留めて来ます。ここまで読めばお気づきだと思われますが、プレースタイルの全てにクレバーな下地を感じさせる投手であり、それらの要素を踏まえると"菅野智之投手(読売巨人軍)のコンパクト版"という印象を受けます。

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この選手のここを見ろ→『出所を隠す三重構造のメカニクス』

ストライクカウントを取りやすい工夫をしている事は上記した通りですがメカニクスの細かい部分に目を向けると、その"野球脳"の高さを窺い知る事が出来ます。

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まず目につくのが三塁方向へ突き出した左腕の使い方で、これによって打者との正対を避け、左肩の開きを押さえる事が出来ます。又、トップを作るのがかなり早い為、左足の接地反力を利用した"高速リリース"へと繋げやすく、球の出所が視認されにくくなります。(※ボクサーで言うフリッカージャブの理屈)更には"頚反射"の作用(※顔を一塁方向へ振る事で上体の動きを引っ張る作用)も取り入れており、これら全ての動きが連動すると三重構造による『出所を隠すメカニクス』が実現し、"いきなり飛んでくる球"への対応を迫られる打者はバットを出すタイミングを失います。意識的な取り組みなのか自然と辿り着いたのかは不明ですが打者に組みにくい印象を与えていることは間違いないところです。

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一説によると大学進学時は1部リーグの強豪校へ進む選択肢もあったそうです。輩出している人材の質は中央球界に勝るとも劣らない愛知の2部リーグですが、その道を自ら進んで選択する選手はまだそんなに多くはありません。出場機会を貪欲に求め、期待値を超える活躍を見せ始めた辺りからしても『東海クオリティ』の新星と言えるのではないでしょうか。見る度にピッチングの質が向上している投手で大学入学後のアップデート力で言えば栗林良吏投手(名城大)を凌いでいる印象すら受けます。今後の課題を挙げるとすれば"球数を減らしてテンポで圧倒する事"でしょうか。最終学年での更なる進化を経て、上のステージ(社会人野球・NPB)への扉をこじ開けられるのか?新シーズンでの登板試合が非常に待ち遠しいです。