福岡大大濠 180cm 85kg 左投左打 大学通算成績(4年春季まで) 23試合 132回 11勝5敗 自責点34 防御率2.32

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ランナー無しの状態でもセットポジションより始動します。写真では伝わりにくいかもしれませんが軸足一本で立っている時の溜めが効いており、目線切り(右脚を引き込む際に視線を一塁方向へ切る事で前方への意識を薄めている)のテクニックも取り入れています。これらの動作によって体の突っ込みを抑えるような効果が発生していると思われます。

そこから右膝を概ね胸の高さまで抱え込み(下半身を大きく使う意識)、グラブと左手との分離を早いタイミングで行っています(左腕を早めに脱力させる準備)。 ワインドアップ期からヒップファースト期に入る辺りで臀部の左側を本塁側へ向ける様な動作を取り入れています。俗に言う「骨盤のかませ」ですが、大きい部位の関節を上手く使う事で再現性を高めつつ出力の無駄を省く意図を持つ動作です。これによって下半身を狭く鋭く回せるようになり、アクセル筋群を使う形でのステップ動作を実現出来ます。


ヒップファーストでは頭部が軸足の股関節上に残っており、重心を上手く溜める事が出来ています(突っ込みの抑制)。この際に左手でマウンドを触りに行くような意識で左の脇腹を収縮させると体軸に傾きをつける事が出来ますが、坂本投手の場合はステップ動作中に右肘を高く上げる事で体軸の傾きを作っています。

下半身に柔軟性は並程度に見えますがステップからランディングにかけては骨盤の開きを我慢出来ています(というよりは下半身が開きにくいタイプでしょうか)。坂本投手の投球動作で特徴的なのが上体と投球腕の使い方です。胸を上手く張れず上腕の捻りを使えていないが為にアーム投法的な左腕の使い方になっています。同じく立命館大学出身の東克樹投手(現DeNAベイスターズ)もアーム投法気味で腕を振っていたので似たタイプと言えるのかも知れません。

ステップ動作中に体軸の傾きを確保したものの、左脇腹を充分に収縮させたとは言えなかった為なのか上体が立った形でのリリースモーションになっています。打者寄りで球が離せず、低めへの制球が手先頼みになる懸念が有ります。球速が出る割に変化球で仕留める割合が多いのは、この辺りに理由があるような気がします。フィニッシュでは上体と投球腕をストライクゾーンに押し込むような形でボディターンしている事もありボールがバラつきません。上腕と肩甲骨はあまり上手く使えていませんが、その他の動きでカバーしているタイプと言えそうです。

ステップ幅を広く取っているのか、フィニッシュからフォロースルーにかけての右脚の伸展が弱いように見えます。ここで右股関節に上体が乗るようだとボールの勢いが打者の手元まで残ると思います。尻がそれほど落ちず真っすぐに踏み出すタイプで、上体のスイング幅が狭いのでドロップカーブやフォーク、スプリット系には向かない投げ方です。

クレバーでクールというよりは感情の入った投球をするタイプです。ドラフト直前の時期という事もあってか同じくドラフト候補の谷川刀麻、佐藤輝明(※3年生)との対戦では147km/h、148km/hのストレートをマーク。佐藤輝明からは高めのストレートで豪快に空振りを奪うシーンも有り、この日詰め掛けたプロスカウト達に良い印象を残したと思います。ドラフト前での最後の登板になる可能性が有ったので人生最大の意気込みで臨んだそうですが、それを見事に完封勝利で飾りました。やれる事は全てやりきったと言えそうです。(※翌日にチームが負けた為、翌々日の三戦目にも登板。9回2失点完投という内容でしたが味方の援護が得られず敗戦。このショックで指名漏れを覚悟しているような報道がされていました) 余談ですが試合後にファンからサインを求められている場面に遭遇しましたが目線を合わせた対応で応じており、人柄の良さを伺わせていました。

順位縛りが無ければ、ほぼ確実にドラフト指名される存在だと思います。加速期で肘が鋭角で出て来ない為、肘を痛める懸念が有りますが(東克樹投手に似た特性です)プロでの活躍を計算しやすいタイプなのでドラフト2位~4位辺りで名前を呼ばれるのではないでしょうか。ストレートの球速帯に比べて変化球の速度が130km/h弱に集中している点が引っかかりますが、そこさえクリアすれば早い段階から一軍戦力になるでしょう。※上位~中位級評価