秋季リーグ一戦目にしてドラフトの目玉としての立ち位置を確立させた感があります。 
近畿大学の佐藤輝明選手も高評価なのでどちらが一番人気になるのか不明ですが、この二人がドラフト1位戦線で中心視されるのではないでしょうか。

早川投手が並のドラフト1位候補と異なるのは奪三振能力の高さだけではなく、奪三振能力の高さに対して四球を出す割合が低い事に有ります。


令和二年度秋季リーグ戦 明治大学戦(一回戦)での投球
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令和二年度春季リーグ戦の個人成績
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※いずれも東京六大学野球連盟公式サイトからの引用です。



今年度はここまで三度、先発投手としてマウンドに上がっていますが、計26回を投げ、奪三振が36、与四球は2という内容になっています。

奪三振に対する与四球の割合を測る"K/BB"という指標の数値は18となっており、3.5を越えれば優秀と言われているK/BBにおいて破格の数字を叩き出しております。
母数が3試合26回と、サンプルにするには心もとない数字なので、今後も注視して行きたいところですが、図抜けた制球力を持っている可能性が高い事だけは確かです。

ちなみに明治大学時代の森下暢仁投手は大学4年の春秋で、計116の三振を奪い、25の四死球を与えています。
K/BBを算出する計算式では死球の数を含まないので、このデータから正確なK/BBは算出する事が出来ませんが、大体、4.5の奪三振に対して1の四球を与えるという感じになります。

それを踏まえると、18の奪三振に対して1の四球しか与えない割合で投球を続けている事の凄さを理解出来そうな気がします。

では、「何故そんなにコントロールが良いのか?」という所ですが、投球動作の中から、それを探ってみようと思います。


この動画を良く見て欲しいのですがマウンドプレートの真ん中を踏んでいます。 
それによってリリースポイントをストライクゾーンに近づけやすくなり、ボールカウントが先行しにくい状況を作り出せています。
左打者の内角に威力のあるストレートを制球出来ているのも、それによるものだと思います。

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これらの画像を見て、何が言いたいかすぐに気付いた方は投球動作検定3級(そんなものはありません)に合格です。

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着地に入る間際にここまで左手が上がっている事が"アーリートップ"に繋がり制球面に効いているのだと思います。

トップの遅れは抜け球に繋がりますし、故障リスクの観点からもあまり良くありません。

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次のお題はこれ。

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左手の小指が上を向く形での加速期です。 左の前腕が回外(外捻り)しており、掌が体の方を向きます。 

ここで回外が甘くなると掌が真上を向くため、リリースしたいポイントよりも前の段階から掌が正面を向いてしまいます。 

そうなるとリリースが定まらず制球力の悪化に繋がります。 「ボールは顔の横を通せ」の意味はこの事だと思います。

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最後はこの動作です。

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リリース後に左脚がガニ股のような形になる癖を持っています。 
このまま強く蹴り上げると左脚が外に振られて、力の方向を本塁側へと集約できなくなります。 
これはシュート回転や制球難の原因になると言われております。

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左脚を伸ばし、右股関節に左股関節を被せるような動作を入れた後に、左膝を内に入れる形で投げ終えています。 
これによって左脚が外に膨らむような動きを押さえ切れています。

軸脚(早川投手であれば左脚)が蹴り上げられる形で股関節を使い切らないと、
動作にブレーキがかかってボールに力が伝わらないという話も有りますが、
今永昇太投手(DeNA)も早川投手に似たようなフィニッシュ動作を採用しています。
重心を下げて投げるタイプの投手にはフィットする場合も有るという事ですかね。

という感じで、
一般的に推奨されている動作だけでなく、自らの身体的特性を知ったうえでの動作を取り入れている事が"神コントロール"の秘訣になっている印象を受けます。

投球動作全般についての考察も、そのうち書きますね。