愛知の大学野球界(もしかしたら社会人野球かもしれませんが)を盛り上げてくれるであろう有望選手をピックアップする記事の第2弾は金子蓮汰投手(東郷高校)です。

プロスペクト発掘の夏①

個人的には今年の高校3年生ではナンバーワン級の投手に推したい一人です(強豪私学の主戦級をまだ見ていませんが)。ボールの切れというところでは及びませんが実戦力の高さは愛工大名電時代の東克樹投手(現DeNAベイスターズ)に迫るレベルにあると思われます。「ゾーンを広く使える事」「ボール→ストライクの軌道、ストライク→ボールの軌道、どちらの変化球でもカウントが取れる事」「ゾーン内で勝負できる変化球を使える事」etc.既にこれだけの強みを兼ね備えています。ストレート一本で押すような場面が増えてくると更に見栄えが良くなると思いますが、中堅公立校の投手としては出色の存在です。愛知大学野球の2部リーグでなら今すぐにでも勝ち投手になれると思います。

今回はそんな金子投手の投球フォームについて考察してみたい。

連続投球フォーム
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ノーワインドアップから始動します。
予め左足の上に頭を置いているように見えるので再現性の面では然程問題が無さそうです。

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グラブを高く上げ、この時点でグラブからボールを抜き始めています。

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右膝がみぞおちの辺りまで上がり、上体の正面で両手を割ります。

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体の正面でボールを割るので、重心を後ろに残さず前重心で体重移動するタイプですね。

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右の膝を二塁方向へ入れ、お尻を捕手側に向けます。

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膝から下を二塁方向へ投げ出すように使っています。
本塁方向へ向かう為の助走のような動作だと思われます。

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小指を上に向けながら右腕から先に出して行きます。
この時点で頭及び上体が突っ込み気味ですが意図的だと思われます。

骨盤が斜め上を向き、ベルトが見えています。
パワーポジションが取れておらず、お尻と裏腿が使いにくい形ですね。

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右腕と右脚を捕手方向へ投げ出しダイナミックにステップしますが、
軸脚に体重を乗せられていません。
ここで軸脚に体重が乗るようだと右脚が「くの字型」になるはずです。

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右腕と右脚を大きく使い、下半身を開かせて行きます。
左腕の位置に対して全身の開きが早いので、腕が遅れ気味ですね。

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左前腕の回内(内捻り)を使ったフィニッシュです。
右脚の伸展が強く、骨盤へと接地の反力が伝わっています。
両脚の膝が接近し、股関節同士が寄ります。

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上体回転により、左肩が捕手方向を向いています。

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軸足(左脚)が蹴り上げられスパイクの裏が上を向きます。
体は横に狭く使えており制球力の高さの裏付けになっています。

まとめ
3学年上の先輩・山本一輝投手(東郷高校→中京大)に似たような身体的特性だと思われます。右脚がインステップしやすく開きにくい特性の下半身ですが、右腕と右脚を大きく使いながらステップをして行く事で右股関節を支点としたボディターン(上体回転)を実現できています。上体回転を使った投球動作が出来ているだけでも稀有な存在ですが、右足が踏み込んだ時の力をリリースのパワーへと転化出来ているのも着目すべきポイントだと思います。フィニッシュからフォロースルーにかけて軸足(左脚)が蹴り上げられており、体重移動のパワーを余す事無く使えていると思われます。

「M型」のテイクバックになっていますが、体重移動する際に軸脚の股関節に体重が預け切れておらず、着地までの間が取れないので左腕の引き上げに余裕が無いのだと思われます。ここが改善されれば、球速アップに繋がりますし故障のリスクも低減するように思われます。まだまだ良くなると思います。

テイクバック
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最大加速期
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リリース
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