左から小林研貴内野手、松田亘哲投手、井上尚輝捕手
この一枚の写真が全てを物語っています。自身の努力と決意の強さがプロ指名を勝ち取った再大の要因に違いないところでしょうが、チームメイトの支えによるものも大きかったはずです。「3部リーグ所属の怪腕」「最速148km/h左腕」という異名を誇っていたので圧倒的な個人だと思われているかもしれませんが、ここ数か月の間に急上昇して来た素材型というのが実情です。
「負ければ大学野球引退」「ドラフト指名後、初登板」というプレッシャーのかかる状況で行われた3部リーグプレーオフ・愛知淑徳大戦(2部リーグ最下位校との入れ替え戦に進出する為の一発勝負)では7四死球を与えてしまう大乱調の投球となり、ノックアウトもチラつくような厳しい展開になりました。
苦しむ松田投手を一人にはさせない、と援護射撃をしたのが井上尚輝捕手と小林研貴内野手の両選手。共に松田投手と同学年の4年生で、守備力が強みの井上捕手は正確な送球による進塁阻止と("イノキャノン"と命名しましょう)と好フィールディングでピンチを防ぎ、代打で登場した小林内野手は超特大の同点ホームランで球場の空気を一変させました。
井上捕手が相手の攻勢を止める度に「サンキュー」の意が込められたようなタッチを交わしていましたし、特大弾を放ってベンチに引き上げて来た小林内野手は松田投手を見つけるや否や熱い(熱すぎる)抱擁を交わしていました。苦しい時に助けてくれた仲間への感謝、松田投手を助けたいと思う仲間の気持ちが垣間見えた瞬間です。
名大ナインにとっては松田投手の存在は誇りでもあり自分達が取り組んで来た事の象徴でもあるはずです。2017年の春季以来となる2部リーグ復帰に向け、一枚岩の様相を見せる「令和元年度名古屋大学野球部」の集大成に注目です。