打撃メカニクス

石川昂弥選手(東邦高校)

3S9A6048

3S9A6220

3S9A6050

3S9A5692


大学・社会人を含めたドラフト候補打者の中でナンバーワンと目されている石川昂弥選手(東邦高校)。 高校3年最後の夏は県大会2回戦で姿を消してしまいましたが、好評価は揺るがないと思われます。 春のセンバツで3HRを放った自身の実力だけで無く、昨今のプロ野球界で似たタイプのスラッガーが軒並み活躍している事も大きいと思われます。完成形は鈴木誠也選手(広島カープ)、岡本和真選手(読売ジャアンツ)等。高卒でプロ入りする事が濃厚ですが、せっかくなので打撃技術についての考察をしてみたい。


連続打撃フォーム
3S9A5678
・股間右側の皺が浅く右股関節が内転していない。

3S9A5681
・左足を浮かせて緩急等への対応を図る。
・左膝を内に入れず懐を深く保つ。


3S9A5685
・トップへ向けてヘッドが投手方向へ寝る。
・ここで右股関節が内転する。


3S9A5686

3S9A5687
・右の肩甲骨を上方回旋させトップに入る。
・左足のスパイク裏を投手に向け重心を後ろに残す。


3S9A5688
・右の股関節が内旋し腹筋が対角に割かれる。

3S9A5689
・軸足に重心を残したまま前で捌く。
・振り出しで右の肩甲骨が下に動かないので体軸の傾きが甘い。


3S9A5690
・始動から打ち終わりまで両目で見据え頭がブレない。
・頭と右肩が寄るので体幹の力で押し込める。


3S9A5691
・左の肩甲骨の動きが甘くフォロースルーを大きく取れない。

まとめ

コンタクト能力に優れ、少ない動きで強烈な打球を飛ばすタイプですが、プロ入り後を考えると下半身の使い方に課題が見えてきます。ボールを捉える際(インパクト)、軸足(右足)に重心を残している事が多いように見えるのですが、軸足に重心を残すと体が前へと進みにくくなる為、左膝にゆとりを持たす必要が有ります。実際にはボールを捉える前から左膝が張ってしまう事が有り、この状態で前へと誘われると下半身が動かなくなる為、腕だけでの対応となり打球に力が加わりません。高校野球は金属バットなので腕だけでも対応できますが木製バットではそうもいかないはずです。又、外角低めの球へも体を寄せて行きにくいので見極めが難しくなる恐れが有ります。軸足に重心を残すのであれば左膝にゆとりを持たせて対応する必要があるし、ボールを捉える前に左膝を張るのであれば、軸足は前へと寄せる必要が有ります(そうでないと下半身が回りません)。この辺りの再現性や方向性に課題を残しているような気がします。軸足に重心を残すにしても、下半身の力を利用してボールを飛ばしたいのでスパイクの裏はガッツリめくった方が良いと思います。打球が最も鋭く飛ぶのは「インパクト」と「骨盤の投手方向への正対」が一致した時です。軸足のスパイクが地面に接地している面積が広いと、その動作は起こしにくいと思われます。

昨年辺りと比較すると、歩幅を狭くしているように見えるので下半身の力を使って飛ばす事は意識しているような気がします。歩幅を狭く取り「割れ」を深く使わないのであれば水平回転に入る前の垂直回転を使いたいところです。トップから振り出し(エルボーイン)にかけて右の肩甲骨を上下に使うと打球に角度を付ける為の予備動作が発生し、変化球への対応力も上がります。将来的にはこの辺りの動きを取り入れてみても良いのかもしれません。

という感じでプロ入りに向けての課題は残していますが、技術的な伸びしろを残していても本塁打を量産出来ているという事でもあります。右の長距離砲を求める球団にとっては喉から手が出る程欲しい存在だと思われます。地元・中日ドラゴンズへ入団して根尾昂選手と三遊間を組んだら絶大な人気を誇る事になりそうですが果たして…。



.474



開幕前に一押しとして紹介した三村政喜選手(東海学園大学 4年)が首位打者を獲得しました(僕は本塁打王候補として紹介していたのですが)。 打率.474(38打数18安打)という驚異的な数字を叩き出しましたが、単打狙いの当てに行くスイングでは無くゾーンに来た球を強く叩くタイプだという事も付け加えておきたいです。トップバッターなので一塁の駆け抜けタイムもそれなりに速いのでしょうが(未計測です)、右打者なので内野安打は稼ぎにくいはずです。その条件でこの打率を叩き出した事には高い価値が有るのではないでしょうか。

打撃モーションを簡単に考察いたします。
C73A2543
・軸足股関節の内転(軸足の内側体重)

C73A2544
・トップを早く作る意識(ヘッドが投手方向へ傾く)
・軸足に上体が乗る
・浮かせた左脚が体の内側に入らないので懐が深い


C73A2548
・両目で投手方向を見る
・腕がほぼトップの位置に入る 
・右の尻を少し投手方向へ向けるように軸足股関節の内転(内側体重)をキープ
・軸足のパワーポジション(骨盤を前傾させ臀部とハムストリングスの力を使う準備)


C73A2550
・軸足股関節の内転(内側体重)をキープ
・左の股関節を内旋させ(内へ捻る動き)鋭く踏み込む為の準備をする(※バックステップ気味の踏み出し)

C73A2551
・伸張反射を起こす為に腹筋を斜めに割く(捻転差)
・右肩甲骨を内に寄せて右腕を体幹にくっつける


C73A2552
・踏み込みの反力によって下半身を一気に開かせて骨盤を投手方向へ正対させる
・ヘッドステイバック(左脚が回転動作の軸になる)
・軸足に重心を残さず両膝を接近させる(スパイクの裏を捕手に見せる)
・右肩甲骨は内に締めたままにして体幹の回転によってヘッドを走らせる


C73A2553
・体幹の伸展によってフォロースルーを大きくする
・前が大きいスイング軌道 

C73A2554
・軸足伸展による押し込み


まとめ
鴻江理論でいう「あし体」に一致する打撃フォームです。5枚目の写真を見るとわかりますが、下半身が開きにくいタイプだと思われます。その為に3~4枚目の写真で左脚を内旋させて下半身を開かせに行く準備(骨盤を鋭く回す準備)をしています。歩幅を狭くし、軸足を前へと寄せて行く事(重心を前へと持っていく)で骨盤が投手方向へ正対して行きますが(両股関節と両脚内転筋を上手く使って下半身主導のスイングを実現させています)、この際に「骨盤→臍→バット」の順で前に出て来るので外角の球にも体が寄って行きます。ゾーン全体を力強くコンタクトして行ける理屈はその辺りになるのですが、腹筋の伸張反射(捻転差)を利用している事と押し手(右腕)を体幹と一体化させている動きを使えている事も大きいと思います(テニスで言うフォアハンドの理屈ですね)。

この打ち方であれば、ボールを長く見れますし前に誘われたとしても強く叩けます。下半身が開きやすいタイプの打者にはマッチしないかもしれませんが、アマチュア選手の教材と言えるような打ち方ではないでしょうか。今季は東京六大学野球連盟や関西学生野球連盟の試合も観戦しましたが、同じぐらい洗練されている打ち方の打者には遭遇しませんでした。秋季もズバ抜けた成績を残して有終の美を飾って欲しいものです。





このブログに関しての説明
主に愛知県のアマチュア野球に関する観戦記です。 一般人による運営ですので内容に誤りがある事を前提として閲覧してください。 又、公開に関して問題があるようでしたらコメント等にて一報いただければすみやかに対処させていただきますので宜しくお願いいたします。
記事検索
カテゴリー
タグクラウド
livedoor 天気
QRコード
QRコード