投球術

当たらないストレート





昨春の全日本大学野球選手権(富士大学戦)で快投を見せ、全国区となった山本一輝投手(中京大学 2年生)。 元LAドジャース・スカウトの小島圭市氏からは「しなやかさが出てきたらドラフト1位候補」という評価を得ています。今回はそんな山本投手の投球フォームについて分析したいと思います。※同一投球動作内での連続写真ではありません。

ワインドアップ期からヒップファースト期
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セットポジションからの始動。右膝を胸まで抱え上げ、右半身から本塁方向へ加速していく為の準備が出来ています。胸の当りでグローブから腕を抜いており(ハンズセパレーション)早めに投球腕を脱力して行くような意図が伺えます。ヒップファースト後の骨盤が後傾した辺りでは頭部を後方へ残すような軸の傾きが作れています。

サイドステップ期から最大加速期
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この記事の最初に貼った蔵建て男さん@kuratateoのツイートにもあるとおり、山本投手のストレートは打者の反応がワンテンポ遅れるのですが、その秘訣がここから先のフェーズに詰まっています。体側に沿って腕が引き上げられトップで前腕が回内しています。ここから前腕を回外させて最大加速期へ入って行くのですが、この間はずっとボールが隠れています。最大加速期で肘を鋭角に使っている為、ここでもまだボールが見えてきませんこれによって打者はリリースの瞬間にしか目付けが出来ずタイミングを取るのが遅れます(もしくは早めに釣り出される)。恐らくですが、一時期話題になった「マルかいてポン」で腕を振れているタイプの投手だと思われます。出所が見にくいだけでなく、上から叩いていけるので制球面にも強みのある腕の振り方です。(トップで胸椎の反りを使えている割に胸郭の突っ込みが甘いような気がするので、そこは課題でしょうか)

リリース期からフィニッシュ期
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リリース期では両肩から肘までを結んだラインよりも前腕が立っています。このアームアングルによってボールの回転軸が縦になっている可能性が有ります。右打者への外角高めの釣り球で空振りが取れているのはリリース期までボールの目付けが出来ない事もありますが、打者の予測を超えるような軌道で球が伸びて来る為かもしれません(ストレートにバックスピンがかかっている)。又、リリース期で下肢三大関節(股関節、膝、足首)が垂直に整っておらずインステップ気味になっています。本来であれば上体の回転動作と重心移動を阻害し、右打者の内角を突くような対角の球は投げにくいはずなのですが、グラブ側の腕を上手く使って(右肘を右股関節まで接近させる動き)上体をスムーズに回せています。これによってターンが速くなり、打者に合わされにくくなる効果も発生していると思われます。フィニッシュでもグラブを後ろに逃がす事で上体を深く倒し込めております。軸足の蹴り上げは然程高く上がっていませんが身体的特性を考えれば上手くカバーできていると思います。

総評
ストレートは常時140km/h前後という感じですが、テクニックを多用する事でガン表示以上のボールを投げ込んできます。脚が内に入りやすい特性なので回転動作と重心移動が阻害されやすいタイプですが、上体を上手く使ってカバーしています。バイオメカニクスの観点から習得した投げ方というよりは練習と実戦の中で身について行ったような投げ方なのだと思われますが、身体操作性の感覚に優れている投手なのかもしれません。柔軟性とフォームの再現性に関する指摘を受けているのでストレッチによる可動域の確保や動作内での反射の習得に取り組んで、ドラフト1位指名でのプロ入りを果たして欲しいですね。


合わせて読みたい→「ワンカラット」

 


投球動作における『ライン』について




要するに並進運動からリリースまでの動きを一直線上で行うという事ですよね。どこかしらで横運動が加わると頭の位置が直線上から外れて制球を乱す等のデメリットが発生します。 この動きを実現させるには幾つかの意識付けがありますが、上に貼ったクーニンズTVの動画にもあるように、左右の肘(もしくは肩)を狭い横幅の中で入れ替える意識がその一つになると思います。 これによって上から叩くリリースが実現しやすくなり、体の開きが巻き起こす弊害(クロスの対に抜ける、球がシュート回転する等)を軽減できます。

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高木飛翔投手(名古屋市工業高校→東海学園大学・新一年生)によるこのルーティンも左右の肩を狭い横幅の中で入れ替える為の意識付けですよね(恐らく)。

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狭い横幅のまま投球を完結していて上半身も下半身も開いてないですよね。チョッパーのフェーズ(4枚目)を見てもわかる通り、上から叩くような縦の動きを作れています。
高校年代でこのメカニクスに辿り着いているのは凄いの一言です。


頚反射(けいはんしゃ)



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濱岡健士投手(皇學館大学→EDION 愛工大OB BLITZ)

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これは濱岡投手が大学時代に出場した全日本大学野球選手権に関する記事なのですが、対戦した福井工大の監督がコメントしているように「打てそうで打てない」というのが濱岡投手の特徴です。 昨年、実際に濱岡投手の投球を見る機会(全日本クラブ選手権東海代表戦他)があったのですが、ストレートは130kmを超える程度で(それも甘めのガン表示と言われる岡崎市民球場で)スライダーの曲がりも早い、それにも関わらず何故か打たれない。 その理由が知りたくて大学当時のネット記事を検索してみたのですが、濱岡投手の採用している「頚反射」という投球動作にその秘密があるようです。写真を見ていただけるとわかると思いますが、濱岡投手はリリースの瞬間に捕手のミットを見ていません。「頚反射」というのは顔の動きを先行させることによって上体の回転を引っ張る作用を利用したテクニックで、これによってチョッパー→リリース→フォロースルーまでが高速化され(球の出所が見にくくなるという事です)、打者の反応を遅らせたり変化球の見極めを困難にする効果があるそうです。プロ野球の世界でも採用している投手の多いテクニックで則本昂大投手(楽天)野村祐輔投手(広島)辺りが第一人者でしょうか。愛知の大学生投手だと井村勇介投手(至学館大)も採用しています。(※今頃気づいたのですが井村投手は野村祐輔投手をお手本にしているようなメカニクスですね)

余談ですが、「頚反射」を採用している投手はジャストリリースをワンショット(連写モードを使わずに撮る事)で撮影するのが困難だったりします。私が撮影した中だと、栁川優太投手(東邦ガス)、山岡泰輔投手(オリックス)は特に難しかったです。打者からも球の出所が相当わかりにくいんじゃないですかね。

頚反射の理屈に関してはこの動画が参考になります。





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